被災時に備えた備蓄品に、缶詰の3年という保存期間の長さが役立っている。パンの缶詰のみならず、肉や魚等を主体とした缶詰を備蓄しようとする企業や公共施設が増えている。中でも子供や老人でも開けられるプルアップ式で、常温でそのまま美味しい缶詰が熱い視線を浴びている。缶自体の寿命がほぼ3年なので、その缶詰の備蓄期間は3年が限度ということになる。期限が来る前に、新たな備蓄品が用意され、古いものは、従業員に分配される。もちろん、災害時の備蓄は、家庭でも認識は高く、最低3日程度の飲料水や食品は用意されるようになった。しかし、規模の大きな地震や火山の噴火、あるいは、雪や洪水によって、道路やライフラインが遮断されると、ほぼ1週間の備蓄が必要になると、専門筋から注意が促されるようになってきた。
そのためには、備蓄用と日常品を区別するより、少しづつ備蓄に割り当てながら、時間が経過したものから消費へ回すという活用方法が一般的になっている。備蓄には、ただ単に備蓄用の食品を保存しておくだけでは十分とは言えない。対象になる子供からお年寄り、あるいは病気の有無まで考えなければならず、好みの商品だけに留まらず、味付けの濃さや塩分量なども適正であることが望まれるため、早めに試食して、飽きの来ない品物を多種類用意しておきたい。そのように、きめ細かく準備することで、被災時の過ごし方全般を、漏れなく準備をすることが出来るようになる。それが、より安心・安全に繋がると思われる。
最近は、一般の海産物の缶詰に対して念入りに注意を払ってきた。とかく、一般的な保存食の塩分は多めに設定されているが、被災時は、自宅で戴くのと同じ程度の塩味に抑えられ、喉の渇きが抑えられる薄味作りが基本になる。さらに、使われている油脂も固まることのない植物系が望ましい。できるだけ、そのような視点で商品を選んで確保しておきたい。そこで、この「家バル」というキャッチフレーズが目に留まってしまった。[注)家バル=自宅にいるような気分になれる軽食の出る喫茶店もしくは酒場のこと]。それこそ、田舎で愛想のよいお姉さんのいる喫茶店で出される軽食そのものと考えられる。その様なお店では、既に定番の冷凍された食材を解凍して提供するという都会的な発想ではなく、今ある食材を上手に使って日常的な味付けを施した料理が提供されていることが多い。
この家バルという缶詰は、原産国がタイということもあって、タイ料理の真髄と言えるような味付けである、新鮮な食材をより美味しく戴くために、そのままの姿形で缶詰にしてある。タイ料理は意外に辛いと思われがちだが、その味の中に酸味や僅かな甘みなどが加わり、塩分を減らした味付けで、缶詰になるとそれが優しさに感じられる。もちろんキャッチフレーズのように、ワインやお酒に良く合う食材となっていて、当然おつまみ的な要素も強いが、あえてスパイスを利かせて薄味の良さを引き出している。アサリのスモークは、燻製の大豆油漬けで、そのままでも美味しいが、パスタや海鮮サラダでも俄然美味しさを引き出せる。一方、サバのグリーンペッパー大豆油漬けも、さっぱりとそのまま戴けるが、焦がし醤油や山葵とも相性が良く、日常的な味付けが可能だ。
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