2014/08/15

煮焼きイラコ穴子

  去年、鰻を外食で何度食べたかと思い出してみると、おおよそ8回であった。神田きくかわ(紹介済み)3回、新宿の登亭(紹介済み)5回といったところだ。もっとも、冷凍で取り寄せている品物(紹介済み)を合わせると鰻は必要以上に食べている。贅沢というより単に好きなだけで、ステーキを食べるくらいなら鰻を選択する性分なのである。しかし、好きな物だからと言って、その美味しさに拘っているわけでもなく、やや盲目的な感情が支配してしまう。ま、みんな同じ程度に楽しみになるといった具合だ。ただ、近年、鰻の稚魚が年々減っているから、今のうち、もっと食べておきたいと思うこともあるが、こちらの寿命もあるので、死ぬまでにどのくらい食べられるか見当がつかない。

 また、いつまで食べられるか分からない背景の1つに、職人さんが減っている事も挙げられる。仕事を継承するのに、最低でも10年かかると言われていて、まさに作業はノウハウの固まりで、将来的に見て鰻職人の修業も徒労に終わってしまう可能性があるからだ。しかし、その技術は、美味しい穴子の加工にも転用できる。穴子は稚魚収穫や.養殖技術は今のところ必要ないが、.裁いて骨を取り除き、そして煮たり、さらにタレ付けて焼く、それこそ熟練の作業がそのままだ。裁き以降は、鮮度を保つため、手の込んだ作業を素早くこなす技術が必要になる。特に小ぶりな穴子は、口に入るまでに形が崩れやすく、慎重な作業の連続と言える。しかも、穴子は鰻のように高価ではないので数をこなさないと採算性が劣る。

 食べる方の我々消費者としては、穴子は、鰻より脂分が少なくヘルシーで、しかし、ビタミンAの量は同じぐらい含まれている。眼には十分良い効果が得られるらしい。毎日でも食べたいぐらいだ。私の田舎の広島では、昔から瀬戸内の穴子が広く食されていて、巻きすしやばら寿司(ちらし寿司とも言う)はもとより、もちろん、そのまま焼いても頂くが、穴子がご飯の上に並んだ弁当(穴子飯)までもが駅に並んでいる。関東の人がその弁当を口にすると、その穴子の硬さに閉口するかもしれないが、関西では鰻も穴子も魚として扱われている。つまり、蒸し上げる作業はない。ただし穴子は煮る工程を経て柔らかくしたものはある。関東の、江戸前穴子を天ぷらで頂くとか、寿司ネタとして口にするのと固さは同程度と言える。

 今日は、QVCの番組を見て「目利きが選んだ三陸産煮焼きイラコ穴子」というのを取り寄せてみた。目利きと言うのは、無秩序に高価な品物という意味ではなく、優れた仕事をして美味しく仕上げたという意味が込められている。価格は、10尾分入が税込みで 5,140 円になっている。うな重なら1.5回分の価格だが、ご飯に乗せて穴子丼なら10杯分ということ、つまり毎日食べて10日になる。イラコ穴子は三陸では最も広く収穫できる穴子として知られているが、煮焼きに加工することで、柔らかく香ばしくなって、ご飯との相性も抜群によい。さくっと朝から穴子丼という手もあり、満足できる内容だ。とにかくお安いのが嬉しい。
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