2015/05/03

深川めしの穴子のせ

 東京駅も随分変わったな、と左右にお店が並んだ通路を通りながら、それでもまだ工事中のところは多い。いったいいつになったら最終完成版を公開してくれるのだろうか、楽しみでもある。東京駅に来ると、旅人でなくても最初に思い起こすのが弁当である。先々週、新幹線に乗り込むやいなやビールを開ける「プシュ」の音があちこちでして、じわーと弁当の匂いが自分の席まで押し寄せてきた。久々にまいった、別腹が疼いたのである。そこで、今日は自分も弁当を買ってから乗ることにしたい。

 物価上昇とともに、弁当の価格も徐々に上がってきた。でも「買っていいな」と思えるのは、いいところ1,800円(お茶込み)までで、鰻弁当の2,200円は少し辛いというのが正直なところだ。何処の駅でもそうだが、特に東京駅は場所代が高いから、テナントは安く仕入れた商品を高く売らざる終えない状況にある。ただ、東京駅のJR東日本から東海道新幹線乗り場のJR東海の改札を抜けるまで弁当を買えなかった乗客にとっては、10%ぐらい高くても納得感はある筈だ。

 現役のビジネスマンは、相手のスケジュールもある仕事だから時間的に諦めるしかないにしても、自由気ままな旅人なら、弁当は駅へ行く途中の「デパ地下か弁当の老舗本店」で買い求めるのがよい。駅構内で売られているのは「駅弁」であって、「デパ地下や老舗本店」で売られているのは、単に「お弁当」である。競争力が高いのは後者で、それらは、常に厳しい目が注がれているからだ。したがって、少し美味しいお弁当は、朝10時からデパートで買い求めたい。

 美味しいお弁当、とか競争力のあるお弁当とは一体どういうことか。評価するポイントは人それぞれだが、1.優れた食材で作られている、2.好きなものが入っている、3.手の込んだ仕事をしている、等が挙げられる。鰻弁当なら静岡産の鰻であったり、牛肉弁当なら浅草今半とか、炊き込みご飯なら深川飯とか、色々と手を変え品を変えて購入することで、自分の価値観と照らし合わせて評価する事が出来る。ふと、何気なく、そうそうあれ「また食べたいなぁ!」と思ったら、やはりそれは美味しいお弁当といえる。


 上の写真は、深川めし弁当のシリーズで気に入った弁当の1つ。ご飯は、もちろん浅利を炊き込んだ「深川めし」。その上に小ぶりな穴子を3列並べ、深川太郎(会社名)伝統の味「厚焼玉子」も盛り付けられている。例え小ぶりな穴子といえども、他の弁当のような、穴子を細かく切り刻んだ姿とは異なり、江戸前を姿形で表現しているところや、最後まで飽きが来ない味わいの深さに好感が持てる。

 連休を自宅で過ごす人にとって、お弁当は嬉しい一品になることもあるし、平日でも映画を観た後に戴く目的で、早めにデパートの地下で弁当を買っておくのも良い。コストパフォーマンスのよい人気の高い弁当は、すぐ売れてしまう、遅くともお昼までには完売だ。しかし、やや高級な(1,500円以上)お弁当は、夕方でも売れ残りがあり、値引きの札(-300円)がついていることもある。2割程度の値引きが目安だ。逆に、このような高級弁当を狙い目と考えるなら、夕方店頭で弁当を物色しながら「何だ1,000円の売り切れなの?」と呟きながら、迷っている(ふりをする)と、「こちらはいかがですか?」と2,000円の品物を400円引きで提示されることがある。夕方なら、こういう優柔不断作戦もアリだ。