古い習慣は、たとえ社会的にかけ離れていたとしても、なかなか止められない事がある。特に食事に関するものは、体が継続一貫性を求めており、それを崩すには時間が掛かる。そんな抵抗感を拭いきれないのが、「食事と称して、菓子パンを食べる」代替食である。今時は、何処の町にもパン屋は数軒あり、そこには、選ぶのに困るほど美味しそうな商品が並んでいる。しかし、その店頭の隅に追いやられた食パンを眺め、その厚みと焼き具合を想像し、何をつけて食べようかと、考える人は少なくなったのかもしれない。今や、そんなかけ離れた話題なのに、それでも拘るという人に「今治の3種のマーマーレード」を試したのでレポートしたい。
マーマレードは、夏みかん、伊予柑、日向夏、ゆず、温州みかん、ネーブルオレンジ、金柑、甘夏、デコポン、レモンなど、基本的には柑橘系なら何でも作れる。もっとも、自作するなら原材料は厳選したい。極力農薬を使わず、皮が厚いものを選びたい(ここで、ゆず、温州みかん、ネーブル、金柑は除外される)。さらに大量に安く入手できる時期(5月~10月は全て柑橘類の収穫はお休み)と、創作意欲を奮い立たせる時期であることも重要だ。また、皮を使うので、すみやかに中味を食べておかなければならない(レモンはやや厳しい)。昔は、手間を掛けて作り上げた優しいお味の自家製を自慢したものだが、今時、自作に拘るよりも専門店に行けば、珍しい種類が用意されている。
探し出したのが、JAS(認定番号2005M-9) 取得の「はるみ、みかん、いよかん」の3種類のマーマレードで、原材料の柑橘(ラベルの果実)、砂糖、レモン果汁すべて有機栽培品を使用したもの。もちろん、「着色料、保存料は一切使用していない」と明記されている(したがって消費期限は短い)。ここまで厳選素材を使われると、少々お高くても、ある意味納得感が芽生えてくる。
冬場の柑橘系果物が豊富な時期に、このような食材は珍しくない感覚が強く、やはり、6~9月の柑橘系果実を見なくなった時期に戴くのが良い。厚めの食パンを少し茶色に焼き色が付くぐらいに焼き上げ、そこに、マーマレードを全体に少し厚めに塗り、しばらく待つ。少しづつ食パンにマーマレードが浸潤して、果実の皮が表面に凸凹を残すくらいが食べごろだ。茶色の表面にマーマレードの甘味が渾然一体となって、シンプルだが他にはない美味しさになる。どの種類も水準以上に美味しいが、上記の3種類の中では、やっぱり「いよかん」が好きだ。少々苦味が利いている「はるみ」も珍しい食感。みかんは意外に美味しいのに改めて気がついた(すべて個人の感想)。
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