日本で古くから親しまれてきた調味料や食材には、他にはない品質に対する厳しさが浸みこんでいる。醤油、酒、味噌、胡麻油、などがその代表だが、おおよそ、それらを製造する会社は長い歴史を育んできた。工場などを拝見しても、老舗と呼ばれる風合いを醸し出している事が多い。しかも、商品に対するとてつもない拘りが脈々と息づいていて、話を聞けば聞くほど奥の深さに驚かされる。確かに、一般市場では世代が変わり、商品パッケージのデザインがモダンになることで、老舗なのか外資系なのか分からなくなることもある。しかし、それらの製造で外資系が入り込める余地は無い。それは、老舗ならではの「時間と手間を掛けた商品作り」と「継続性の高い商売のあり方」によるものだ。
外資が入り込むとどうしても利益優先の商売がはびこる。その風潮を受けて国内メーカーもそれが正しい企業の在り方のような振る舞いをする。食材といっても、「自分が食べる訳ではない」から、CMをバンバン打って、見てくれさえ良ければ売れると考えているようだ。消費者も「みんなが食べているから安心」と考えているのだろう。しかし、日本では、1度でも悪事が暴かれると、未来永劫その悪いレッテルを貼ってしまう。例えば、森永ヒ素ミルク中毒事件(1955年)のことは、60歳以上の人はほとんど知っている。最近の話題では「マクドナルドの異物混入」は決定的で、歴史的にも同社は「根深い疑惑」があったことから、大きく信頼を失っている。
一方、現在でも生き残っている老舗メーカーは、様々な社会環境の変化に対応しながらも、長い間培われてきた、自らの企業理念を崩さず物作りを進めている。今日紹介する「冷やし ぜんざい」のイチビキ㈱も創業243年を誇る老舗メーカー。小豆の加工品のような、昔からある「ぜんざい」なら誰でもその品質をチェックできる。もちろん、低価格(150円)な商品だからといって心配は無用のようだ。低価格にはそれなりの理由があり、ぜんざい1杯分わずか160gが袋詰めになっている。それは煮上げた小豆、砂糖、食塩、水、品質劣化の無い気密性容器で構成されている。つまり、少しだけ食べたいと言う人たちの為の「ぜんざいの小分け」販売なのである。
この、「冷やしぜんざい」だけではない、おしるこや、赤飯など小豆を使った商品が豊富に用意され、それらは「イチビキ」の異色の商品群となっている。元々「イチビキ」は、名古屋の醤油、味噌の老舗として有名で、最近は幅広く食材を提供している。おおよそHP上に商品紹介が広がっているが、この「冷やしぜんざい」の情報は見つからなかったので、取り上げてみた。これは案外上品で美味しい商品に仕上げてある。小豆の姿が残り、むしろ「甘味を抑えた綺麗な形のゆで小豆」といった感じである。レトルトパウチのパッケージになっていて、消費期限も長い。夏場は「冷やしぜんざい」で食べても楽しいが、年間通じて寒天で固めた羊羹などを作って楽しみたい。これが少ない内容量160gの強みだ。そして、含まれる食物繊維をたっぷり戴こう。
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