厳重に濾過したオリーブオイルと、無濾過なオリーブオイルがどのくらい味に違いがあるかは、個人の経験則による検知限の違いによって、小さくも大きくも評価される。濾過した物に慣れてしまっていると、無濾過は「緑色の香り」が残った新鮮な印象を受ける。これが「うーん、薫りも良く、これも美味しい」と思った根拠と言えるだろう。まさに正直な感想になる。しかし、果たして大方の食材の組合わせで美味しく感じるかは、また別の話で、「緑色の香り」が、合わせる食材へ違和感を与えない事が前提になる。
濾過とか無濾過のどちらが美味しいかという、単純な比較論では、必ず2つの意見が成立し、1つに絞られることはない。しかし、それが単に個人的な趣向によるものか、あるいは製造上による問題なのかは、分からない。たとえ、味に大きな違いがあったとしても、幾重にも時間を掛けて濾過した方が断然美味しいというのは、製造者にとっては苦しい結果になるのは明らかだ。それは、濾過するフィルターの目を細かくすればするほど濾過に時間もかかる。したがって、時間を掛けて濾過するのは、コストの上昇に繋がることになる。
この話は、ドリップコーヒーに例えると、紙質の異なる何重ものフィルターを通すのと、1枚のフィルターを使うのとでは、抽出したコーヒーの味に大きな違いがあるというのと似ている。それは、恐らく、フィルターに1~2度お湯を通してからドリップすれば、フィルターの数は少し大目の方が美味しいという結果にもなる。これは雑味が最小になるからだろう。一方で、ドリップコーヒーに例えるのは間違いで、日本茶に例えた方が印象として似ていると言う人もいる。それは、「緑色の香り」とも言える煎茶のような、香りと旨味や渋みが調和している状態と、深蒸し茶のような濁ってはいるものの、渋みが抑えられ甘味の美味しさが際立ち、とてもお茶らしさが漂う中、自然な感じを受けるのと同じようだ。
オリーブオイルは、搾りたてが一番栄養価が高く体に良い成分が多い。最近は基本的に「酸化してしまうと返って体に害がある」という説が大半を占めていることから、どうも、濾過の善し悪しよりも優先すべきは「酸化の度合い」であるというのが真実のようだ。最初に述べたように、無濾過は「緑色の香り」が残って新鮮な感じを受ける訳だが、この感覚が正しいかどうかは、どのくらい新鮮な物に触れているか、ということに関係する。産地から遠く離れ、入手に時間のかかる地域で食べ慣れてしまうと、果たして新鮮な物を選べるか不安だ。
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