優れた臨場感として、誰もが満足するに違いないにしても、ただ、火山噴火の検証というような視点で観ると、ややオーバーな表現と取れる部分や、津波などに歴史上の事実と噛み合わない部分もあるかも知れない。ストーリーは単純明快の作りで、定番とも言える、ロマンス、友情、戦士、決闘、虐殺、奴隷、賄賂、それに、大自然の地域特殊性として、地震、噴火、大津波、逃げる大衆等が組み立てられ、次から次へと展開するので、誰が生き残れるのか、どうすれば逃げ切れるのか、心臓がバクバク、血圧も上がってくる感じで、所詮、作り物だと思いながらも、さすがに根拠のある作り物のせいか、怖さの中に身を投じてしまい、体が長時間強張って疲れてしまった。音楽はメロディックなもので馴染みやすく、オーケストレーションも素晴らしい。観終わっても虚脱感に襲われ、こんなに体に堪える映画も久々だと感じる。少々オーバーかもしれないが、劇場入場前に食べた物が全く消化されていなかった程だ。
60歳過ぎのおっさんの感想だからそれなりだけど、この2つの作品は対照的である。既に古代都市の悲劇として広く知られている話だから、改めて楽しめる要素はないと勝手に見逃しそうな「POMPEII 」と、一方で、興味津々で壮大な映像技術で表現する「ノア 約束の舟」の予告編を眺めて、漠然として前知識も少なく、ひょっとしたら「崇高なるノアの解釈と神に対する服従を観ながら」人類創生の意味合いを、自分に対する教訓の1つとして「映像から何らか学び取れるに違いない」と期待する向きも強かった。それだけタイトルに魅かれるため、その期待に対する落胆も大きいという危険性をはらんでいる。しかし、実際の社会はもっと愚かなことが日常行われていて、それには理解を超えたものも少なくない。つまり、どのような向き合い方をするかによって、この作品自体の理解度も異なってくる筈だ。「POMPEII 」は屈託なく楽しめる作品だが、「ノア 約束の舟」は、作品を観終わって「それはいったい何!と」考えさせられる作品であった。
参考1:「ポンペイ」
http://pompeii.gaga.ne.jp/
参考2:「ノア約束の舟」
http://www.noah-movie.jp/