クロアチアとブラジル戦での出来事。クロアチアのゴール前ペナルティーエリア内で笛が鳴った。ええっ、と思ったら、クロアチア6番ロブレンのブラジル9番フレッジに対するファール(ロブレンがフレッジの腕を一瞬抑え込んでいる)でPKとなった。
スロービデオでその場面を繰り返し再生された。フレッジの前にボールがあるのに、ロブレンに一瞬の抑え込まれて(体勢を崩されたというより)、足が出なかったと見れる。「おー、確かに、そりゃーロブレンいかんでしょ」と思う一場面であった。 フレッジはボールに寄ろうとして、明らかに体の重心が前に傾斜しているのに、ロブレンが背後から腕を「右腕一瞬、左肩一瞬掴んで、2度タイミングを外されている」からだ。決定的なのは、背後から肩を掴んでいることだ。それによって、これは、相手のプレーを阻止する「手を使った行為」として、現在では、明らかに反則になる。
開幕戦という危うい状況で、さすが見逃さない西村主審と思っていたら、クロアチア監督コバチが試合後、西村主審に対し、「あれがPKならサッカーをする必要ない」と批判をしている。「ビデオを細かく観察せずに」物申すのは、いかがなものか。ゴール前にもカメラがあり、2方向から誰が見ても「クロアチアのロブレンが明らかにファール」をしているように見える。行為の目的は、ゴールの妨害と味方のクリアー促すためである。もしそれがファールではないと言うなら、「背後から手を回さないプレーに徹するべきである」。また、監督としてディフェンダにそういう指導もせず、「他人に責任を押し付け」他国の審判の名誉を傷つける発言を世界に発信すべきではない。ビデオ映像の本質をじっくり観てから判断すべきだ。
FIFAのドイツ元主審マルクス・メルク氏も初歩的な誤審とまで言い放っている。FIFAの審判委員長は西村主審を擁護しながらも、審判には間違いもあるとコメントしている。それは、いずれも「フレッジが倒れた事自体で西村主審がファールを取ったと思い込んでいる」からだ。その前の行為を見逃さなかった西村主審の方が「鋭い判定」と言える。もちろん、そんなユーロの試合等で「良くあるファールの偽装パターン」に引っ掛かる筈もない。にもかかわらず、恐らく映像もしっかり見ずにそう言っているに違いない。フレッジは意味なく倒れているわけではない。確かに、そのファール行為を訴えるために自ら倒れている。それが、背後から「右腕と左肩の2度もタイミングを外された」ことによるものだからだ。
一方、本田圭佑君はツイターで、この件に関して真面目な面持ちで「いや、誤審ちゃうやろ、ていうかね、なんで誤審や言われなあかんねん。あの場面で西村主審がPK取らなんだったら、試合後確実に彼は殺されてますよ。だって、良く考えてみてくださいよ、ここはブラジルですよ、どうみても護身でしょう。」 ・・・・ うーむ、なるほど。そういうことか。だから、2022年のワールドカップの開催がカタールに決まった背景にある、買収疑惑で辞任したジャック・ワーナー氏へ、約1億2200万円の賄賂が渡ったと報じられている件でも、FIFAには誤魔化さなければいけない理由が色々あって、批判をかわすために、「誤審だとか、間違いもあるとか」、いい加減なことを言っているのであろう。そして、自らの組織運営を浄化する気持ちよりも、「他人に責任を押し付ける体質」が横行しているに違いない。それが、かつて一流と言われた、サッカー選手であった人達のなれの果てのスポーツマンシップなのであろう。